【広瀬隆雄氏】2020/8/28 ユニティ・ソフトウェアについて
広瀬隆雄氏によるYoutubeライブ議事メモ
2020年8月28日 ユニティ・ソフトウェアについて
目次
はじめに
ユニティ・ソフトウェア(Unity)について
今日は、9月のレイバーデイの後に出てくるIPOで、Unity Software という会社について喋りたいと思います。ゲーマーの人はこの会社をよく知っていると思いますが、一般の投資家さんは知名度低いかなと思うので説明します。
何をやっている会社かというと、インディ・・・つまり、独立系のゲーム開発会社に、無料のゲームエンジンを提供している会社です。いわゆる、フリーミアム・モデルね。
ゲームエンジンとは
コンピュータゲーム、ネトゲとかで、色んなオブジェクトのレンダリング(絵を書いたり)、音の付けたりするする、ベースに機能を提供しているのがゲームエンジンです。個人でも、法人でも、そのツールを利用して、ゲームエンジンの上に、ゲームをクリエイトしていくことができるものです。
最初はホビー、つまり趣味で自分でゲームを作ってみる時に使います。だけども、ビジネスとしてアップロードした後、スマホとかで皆で楽しんでもらう。課金ビジネスが始まった時には、クリエイター(ゲームを作った人)から対価をもらうというビジネスモデルになっています。
収益の受け取り方
収益の受け取り方は2つあります。
1つ目がクリエイト・ソリューションズと呼ばれるものです。これは、ゲーム自体をオーサーする時のフィー(手数料)ね。これは、マンスリー・サブスクリプション。定期購読契約になってます。
もう1つの請求の仕方が、オペレート・ソリューションズと呼ばれるものです。これはネトゲとかをホスティングしなきゃいけないわけですが、ホスティングにまつわる色々なコストをレベニューシェア(売上高の折半)という形で、何%かをUnityに納めてくださいという従量課金、ユーザ数が増えた分だけ課金していくビジネスモデルです。
財務・成長率について
今年の上半期の売上を2倍して年率換算してみると、だいたい7億ドルくらい売り上げてます。売上高成長率は、ここ数年間は40%/年くらいで成長しています。グロスマージンは70%以上あります。しかし、スタートアップの会社なので、R&Dとか間接費とか色々と乗っかり、まぁ赤字ですよね。でも、財務諸表を見ると、このまま売上高が伸びていけば、しっかりと黒字になれます。
ユーザ数は150万人くらいいます。年間売上高10万$以上の課金顧客は716社。売上高に占める10万ドル以上の大口顧客比率は74%です。だから、大部分のファンの人は Unityのゲームエンジンをホビー・遊びで使っているということです。だけども、その中からヒット商品がでてきたら、ぐいぐい課金に繋がっていって、従量課金でユーザが増えれば、どんどん収益に繋がっていくモデルです。
もう1つ重要な指標としては、Dollar next Net Expansion Rate。リテンション率です。既存客から余計にツールなどを売ったかというのをドルベースで示したものですが、第2四半期は142%です。第1四半期は133%。去年は132%。要するに、同じ客にリピートで、より沢山のツールを提供して売上を作っているということです。
本社オフィスについて
創業は2004年。本社は、サンフランシスコのダウンタウン。マーケット・ストリートというのがあり、そこの3番街です。僕も昔勤めてたところの近所でよく知ってるんだけど、非常にしょぼい5階建てのぼろっぼろのオフィスビルに Unity 入ってます。本当にスタートアップ色がプンプンに出てる会社です。でも、本社がどれくらい綺麗かは重要じゃないからね。スタートアップの場合は。どれだけ良いサービスを提供しているか、どれだけしっかりした経営者がやっているか、ファンディングがしっかりしているかの方が重要です。
経営陣について
ここの社長さんは、エレクトロニック・アーツ。つまり、かつては世界最大のピュアプレイのネトゲとかのCEOだった人がUnityでCEOやっています。ベンチャーのバッキングは、セコイア・キャピタル、シルバー・レイク、ドレイパー・フィッシャー。これらはピカッピカのVCですよね。たとえば、シルバー・レイクのエゴン・ダーバンという有名なベンチャー・キャピタリストなんですが、彼なんかが取締役に名を連ねてます。
マーケットシェアについて
モバイルゲームとかのエンジンでは、軽く 50% 以上だと思います。ゲームエンジンの会社はいくつかあって、アンリアル、ソース、ゲームメーカーストゥディオ2、クライエンジン、トルク、コンストラクト2というゲームエンジンがあるんだけども、まぁ、ライバルらしいライバルは、アンリアルエンジンだけだと思います。アンリアルエンジンは、EPIC Games。最近、APPLなんかと揉めて結構バトルしている会社です。だから、競合他社は居るということです。
アンリアルとユニティの違いを一言いうと、アンリアルの方がものすごくグラフィクスが美しい、デラックスなエンジンです。一方の Unity は、どのプラットフォームでもサクサク使えるエンジンを目指しています。だから、Unity のテクノロジーパートナーを見ると、任天堂、ソニー、アップル、インテル、ARMホールティングスなど色んなゲームに関係する企業を網羅しています。唯一エヌビディアが入ってないのね。僕の見落としかもしれないけど。ゲームに詳しい人は僕が何を言っているのか、よくわかると思うけど(笑)
調達・IPOストーリーについて
まだ株数も売り出し価格も、目録見書とかは空欄になっているんだけども、たぶん10億ドルくらいは調達すると思います。9月に入ったら新学期ということで、ビジネスも年末に向けてギアアップしていかなければいけないため、IPOラッシュになると思うのだけど、いくつか候補があります。エアビー & ビーとか、パランティアとかあるとおもうんだけども、僕は Unity が1番強いストーリーだと思っています。
従来のゲーム会社と何が違うのか
たとえば、テイク2や、エレクトロニック・アーツなど従来のゲーム会社と何が違うのかというと、皆にツールを与えて、ファンの人にゲームを作らせます。そして、沢山の無数のプロジェクトの中からいくつか成功するゲームが出てくる。音楽でいうインディーズバンドのようなものです。彼らが成功したら、成功タイトルと一緒に成長していく。このビジネスモデルは、何から何まで社内で抱えて「ヒット or ミス」という博打のようなビジネスモデルよりも現代的で、もっと優れていると僕は思うのね。SaaS (Software as a Service) というトレンドが、ようやくゲームの世界でも出てきたなっと思っています。
QAコーナー
工事中
以上です。