【広瀬隆雄氏】2020/5/21 ワクチン開発レースはヒートアップしている

2021年5月8日

“じっちゃま”こと、広瀬隆雄氏によるYoutubeライブ議事メモ
2020年5月21日 ワクチン開発レースはヒートアップしている 相場は終わってない

目次

  • はじめに
    • モデルナ(MRNA)の状況について
      • 先日、公募増資はしたけれど
      • モデルナは技術力があって、仕事が早い
      • 第2相臨床試験内でドーシングに苦戦中
      • 投資家のエキサイトと、新薬開発問題の温度差
    • バイオンテック(BNTX)に注目すべきです
      • 第2相臨床試験結果が分かる7月が超重要です
      • 過小評価されてる会社です
      • JPモルガンのお眼鏡にかなった会社です
      • 懸念点もあるけど、気にしてません
      • 政府のコネクションが凄い
      • 今、開発しているワクチンは、4つじゃなくて3つ?
      • まとめ
  • QAコーナー (工事中です)
    • JNJ、ワクチン銘柄として検討中です。EPSガイダンスが悪かったですが、手を出さない方が良いでしょうか
    • たまには米国5Gお聞きしたいです。T、VZの配当でオイシイ思いしてますが買い増しタイミングとしていかがでしょうか?
    • mRNA採用してるBNTXも売った方が賢明ですか?爆速計画選ばれるまで待つべきでしょうか?
    • VIRについてはいかがでしょうか
    • EBSは80から90ドルで安定するようになってきましたね。今からでも買いに入るはありでしょうか?
    • 3月の大底でアルトリア(MO)を買ったのですが、やはり将来性が暗いのか気になっています。どう思われますか?
    • 臨床試験サービス会社のIQVIAはどうでしょうか?
    • もし、mRNAワクチンが成功した場合、エマージェントで量産可能か気になります
    • ファイザーがmRNAワクチン用の工場を用意中なら、ファイザーを買うのはどうでしょうか。
    • ポートフォリオについて勉強中です。レイ・ダリオ 氏の全天候型のポートフォリオ に関心があります。広瀬さんのお考えをお聞かせ願います。加えて同氏が推奨する長期、中期の米国国債の価格が高くなりましたので、この代替銘柄があれば、広瀬さんのお考えをお聞かせ願います
    • REGN、最近じっちゃまの話題に挙がりませんが、こちらの今後はどのようにお考えでしょうか
    • MRNAの5/18の株価上昇とその後の公募、これらはタイミングに関連性はあると考えられるでしょうか。
    • リモート関連の話が出たので。。QQQインベスコをコツコツ買っておくのはありでしょうか?
    • 6月以降にワクチン株がさがるにかける時、じっちゃまならショートか、プット買いのどちら選びますか?
    • EVBG(エヴァーブリッジ)、どう思いますか
    • 3月下旬から仕込んだS&P500インデックスを個別銘柄に切り替えるか悩み中です。

はじめに

米国政府がアストラゼネカ(AZN)に対して10億$の助成金を出しました

米国政府の機関である米国生物医学研究局(BARDA)が、イギリスのアストラゼネカ(AZN)に対して、10億ドルの助成金を出しました。アストラゼネカはオックスフォード大学と新型コロナワクチンを開発中です。BARDAが10億ドルを出すことと引き換えに、4億回分のワクチンをアメリカ人にも確保して欲しいと取引しています。これは、トランプ政権の爆速ワクチン計画とは関係ない動きだと思います。なので、ワクチン開発のレースは終了どころか、一層エスカレートしているということです。

モデルナ(MRNA)の状況について

先日、公募増資はしたけれど。

開発レースの戦闘を走っているモデルナが公募増資しました。このやり方が汚くて、一部の投資家で幻滅が生まれました。つまり、盛り下がってるわけです。しかし、ワクチン相場はこれからが佳境だと思います。

〜〜〜〜ここからは一旦、BNTXの話。途中で戻ってきます〜〜〜〜

モデルナは技術力があって、仕事が早い

今年の1月に武漢のリサーチャーが新型コロナを解析して、オープンソースにアップロードしました。そして、みんなが遺伝子開発を進めて、22日間でNIH(アメリカ政府)に納品したのがモデルナだったんですよね。これは非常に良いことです。

第2相臨床試験内でドーシングに苦戦中

既に第1相臨床試験を終えて、第2相臨床試験に入ってます。これはドーシング・・・つまり処方量を臨床する試験です。しかし、ドーシング難しいね。。。ということを話しています。高い処方量と低い処方量で効果を図っている最中です。新薬開発ではドーシングが非常に重要なことであり、自然なステップです。やってること自体は問題ではありません。ただし、多すぎると副作用が良くないし、少ないと効果が出ないという現状です。薬効と副作用の微調整をしてる最中です。もしかしたら良い水準が見つからないかも知れない。今のMRNAはそのような状況です。

投資家のエキサイトと、新薬開発問題の温度差

ただ、投資家はMRNAがやっていることに物凄くエキサイトしてて、株価がパーンと跳ね上がって、この前は高値で公募した後に1,300億円の嵌め込みがあった訳ですよね。だから、その水準がしこりになっているんです。相場的には76ドルを上に克服しなければならない。

更に第2相臨床試験のドーシングの問題をキチンとクリアしないといけない。そしていよいよ承認を受けるために、第3相臨床試験に望まないといけない。

そんな話をどう考えるかというと、夢は広がるシャボン玉でいいんだけど。。。客観的に考えて、楽ではないよねという気持ちです。

バイオンテック(BNTX)に注目すべきです

今、台風の目になっている、1番重要な銘柄がバイオンテック(BNTX)という会社です。我々が今やらなければいけないことは、BNTXに注目することです。理由は3つあります。

  • 理由1 : カッティング・エッジ(つまり、最先端技術)で、開発している
    • mRNA技術と呼ばれる遺伝子編集技術を使ってます
    • モデルナと同じ技術です。技術力にはBNTXも遜色ありません。
  • 理由2 : パートナーが良い
    • PFEは今グローバルに薬品工場を入替えて、ワクチン量産のスペースを作ってます
    • 1番量産技術を持っているのがPFEです
  • 理由3 : 4つのワクチン開発を同時並行で走らせてます
    • リスク・リワードでいって、MRNAよりも高いと考えます

第2相臨床試験結果が分かる7月が超重要です

臨床では、ワクチンを健康な人に打つわけですね。そして、健康な人の身体の中で、抗体が出来るかどうかを見ます。これはスグ分かるですね。ボランティアを揃えて臨床試験すると、すぐ結果が分かっちゃうんです。これが怖いんです。

ワクチン開発というのは非常に成功確率が低いんです。なので、臨床試験が進行しているということは恐ろしい、落胆すべきニュースが出てくる可能性が高いんですね。以前にワクチンの話をした際、「6月になったら俺、降りるよ」と言ってます。それはバッド・ニュースが怖いから、早めに足抜きしたいと考えてます。基本的に今も変わりません。

しかし、各企業によって臨床試験の進捗はマチマチです。1番を走ってるのはMRNAですよね。BNTXはちょっと遅れている。最新の報道では、PFE・BNTX連合が考えてるタイムスケジュールとして、第2相臨床試験結果が出るのは7月ではないかとコメントされてました。そのニュースを見て、僕はホッとした。まだ1ヶ月ちょっと遊べるなって。この遊べる期間=ニュースが無い期間を気にしてます。ニュースが現実に出てくる時期・夢だけで遊べる期間が遠ければ遠い程よい。その意味で、BNTXがベストだと考えてます。

〜〜〜〜 一旦、MRNAの話に移りますが、また戻ります 〜〜〜〜

非常に過小評価されてる会社です

本社がドイツにある会社です。トルコ人?の社長さんと奥さんの二人ともマインツ大学の教授でした。彼らが出会って結婚した、おしどり夫婦で会社を始めました。ドイツのバイオテクノロジーにおいて中心人物的な存在で、その周りにドイツの生物学のコンピタンスが集結している。言ってみれば、ドイツのR&Dを背負ってる、非常に毛並みの良い、凄く期待されてる会社なんですね。

JPモルガンのお眼鏡にかなった会社です

引受幹事を見てみると、MRNAはゴールドマン・サックス(GS)とモルガンスタンレーが毎回交代しながら主幹事を務めてますが、BNTXはJPモルガンです。JPモルガンは引受前のデューデリジェンス(会社調査)が非常にしっかりしてます。とりわけ、バイオ・テクノロジーのデューデリジェンスはしっかりしてます。だから、JPモルガンのお眼鏡にかなった会社と言えます。

懸念点もありますが、気にしてません

懸念としては、ドイツの会社なので、わだかまりがあります。ドイツの会社を爆速ワクチン計画に採用したら、アメリカにワクチン回してくれないんじゃないか・・・と心配されます。最初にこのストーリーを見ると同じように感じたんだけども、たぶん大丈夫だろうなって気持ちに移ってきています。実際にワクチン製造するのはアメリカだからです。

マスクを思い出してください。マスクが不足した時に中国が作ってて、生産地が決定的に重要になったでしょう。だから、BNTX・PFEのワクチンがアメリカで製造されるということは、地政学的に非常に重要なんですよね。

政府とのコネクションが凄い

もう1つ強気な理由として、スコット・ゴードリーブという社外取締役がPFEにいます。元FDA長官。強い意見を持ってて、大統領にも平気で意見する人です。ワクチン開発の影の帝王とも呼ばれます。彼がPFEの取締役なんですよ。だから、政府・爆速ワクチン計画に対するポジショニングとしては、これほどパワフルなアドバイザーもいません。この人がBNTXを推すんじゃないかと僕は考えてます。

今、開発しているワクチンは、4つじゃなくて3つ?

BNTX は4つのmRNAワクチンを開発中だと言われてますが、その内の1つは既にダメんじゃないかなって思うんですね。なぜなら、決算カンファレンスのスライドを見ると、1つ1つの解説図が出てるんだけど、3つしかないんです。4つ目がないんです(笑)風の噂で伝わってくることを聞くと、1つは挫折したんじゃないかなって思います。

まとめ

僕にとってはBNTXが1番おすすめです。7月までは遊べる。だけど、7月の声を聞くと、臨床試験の結果ニュースがどんどん入ってくるので、報告内容によっては、今MRNAが苦しんでるように、BNTXも同じ苦しみを受けるリスクがあります。しかし、これを除けば、最も実力があるにも関わらず、最も株価が動いていない銘柄がBNTXです。

エマージェント(EBS)は、ワクチン量産の下請けです

彼らは下請けです。インテリジェンス(知的所有権)を牛耳ってる会社ではありません。JNJ、NVAX、VXRTという会社の下請けとして、もう契約を受けてます。JNJは本命の1つだと思うんだけど、伝統的な手法で開発中です。すこし臨床試験に入るまでの助走期間が長い。でも、成功確率は高いと思っています。JNJの実際の製造を担当している企業がエマージェントです。

ワクチン開発は量産が極めて難しい

ワクチン開発というものはR&Dが非常に難しいんですが、もっと難しいのが実際に製造することです。試験管で上手くいって、人体に打っても効果が出てても、1億人分を量産したら・・・あれ?当初デザインしたものと違うものが出来てるじゃん?というホラー・ストーリーね(笑)。これ、過去のワクチン開発でいくらでもでてます。だから、量産が難しいという話です。エマージェント(EBS)は、そのノウハウを持ってる。だから、JNJという大企業が頭を下げて、パートナーになっているんです。

国防と縁の強い会社です

エマージェントは米国政府と深いつながりがあります。もっと言えば、ペンタゴンの別働隊だと思ってください。たとえばバイオテロ兵器、炭疽菌(アンスラックス)ね。アンスラックスのワクチンを作っているのは、全米の中でエマージェントだけです。そのような意味で、国防・ディフェンスという点で切っても切れない関係なんですよ。

だから、爆速ワクチン計画で大きな契約を与えようとする際に、安心感のある企業というのは、たとえばPFEは安心感があります。スコットがいるからね。次にJNJ・EBS連合。JNJは大企業だし、EBSは昔から米国政府の別働隊として動いてきたので、非常にカンファタブルですよね。ココらへんが可能性があるんじゃないかなって思います。

QAコーナー

工事中

以上です。