【広瀬隆雄氏】2021/5/6 良いニュースが悪いニュースと受け止められる局面が到来

“じっちゃま”こと、広瀬隆雄氏によるYoutubeライブ議事メモ
2021年5月6日 良いニュースが悪いニュースと受け止められる局面が到来

目次

はじめに

「良いニュースが悪いニュースと受け取れられる」とは?

今日は、株式市場で、良いニュースが悪いニュースと受け止められる局面がそろそろ到来するんじゃないか、という話をしたいと思います。株式の投資家っていうのは天邪鬼な人が多いんだけども、普通、良いニュースは良いニュースですよね。でも、経済の局面に応じて、悪いニュースが良いニュースだと強引に解釈されるケースも多いと思います。逆に、良いニュースでも悪いニュースと解釈する場合があります。

一例を示せば、リーマンショックの後、2009年の頃です。悪いニュースが出れば出るほどほど、FRBが金融緩和しないといけないので、これはGood News だと、逆の解釈がされました。

今のニュースフローは良いが、投資が難しい

翻って、今日の状況を見るとニュースフローは良くなってると思うんですよね。新型コロナワクチンも完成して、ワクチン注射も捗ってますので、良いニュースが多くなってきました。経済は再開してます。経済は明るさを取り戻してきてるのですが、良いニュースが多くなってくると、逆にそろそろFRBは支援策を手仕舞う必要があるのではないかと考える投資家が増えてきます。つまり、良いニュースは悪いニュースになっていまうワケです。通常、このような局面では株式の投資が難しいです。

今、投資家が気にしていることは「テーパリング」

具体的に株式の投資家が気にしていることが「テーパリング」ですよね。テーパリングとは、現在行われている債券買い入れプログラム(毎月1,200億ドル規模)を、段々と縮小していくことをテーパリングと呼びます。

連邦準備制度(FRB)の総資産(バランスシート)のチャートを見ると、直近の数字は45度の角度で右肩上がりで上昇していますけども、毎月財務省証券800億ドル、住宅ローン証券を400億ドル、合計1,200億ドル買い増してるチャートです。テーパリングは、このペースを遅くすることです。

いつ、テーパリングが始まるのか?

前回、テーパリングの”話題が出た”のは2013年5月頃

前回、テーパリングの話題が出たのが、2013年5月だったと思いますが、その時はベン・バーナンギ議長でした。債券買い入れプログラムをちょっと縮小したいと仄めかしたら、長期金利が上昇して、株式市場もギクシャクしました。このように金融政策というのは「緩和→引締め」に転じる瞬間が1番手綱さばきが難しい。投資家も難しいということです。

テーパリングの発表も、しばらく無いと考えている

じゃあ、次はいつテーパリングは発表されるかということですが、僕はしばらくテーパリングはないと考えています。理由は、去年FRBが新金利政策決定枠組みというフレームワークを発表しました。そこでは、インフレが2%を超えても慌てて利上げせず、しばらく様子を見るということが決められました。一定期間で平均してみて、大体インフレ率が2%前後に収まっているのであれば、それで良しとしよう。それが新方針です。瞬間的にインフレ率が2%ほどを超えてもあたふたする必要は全然ないということですね。

今のFRBは、格差是正の為に最終局面まで粘る

FRBがこのようなリラックスした態度に転換した理由は、黒人、ヒスパニックとか、マイノリティな人々、社会的弱者と呼ばれる人たちの雇用は、大体景気拡大局面の後半=最終局面で急に伸びやすいと言われています。今、格差社会と言われてますけども、格差を是正するためにはなるべくFRBが粘って、最後の最後まで利上げしない方が良いのではないかという考え方がFRBのメンバーの中でだいぶ広まっているということです。ジェローム・パウエルFRB議長もそう考えてます。もしパウエルが再選しなかった場合、次期FRB議長の最有力候補のライム・ブレイナード理事という女性もその意見です。また、ニューヨークを除いた地方連銀で1番パワフルな連銀であるサンフランシスコ連銀のメアリー・デイリー総裁もそのような考え方です。なので、FRBの中で、なるべく粘ろうという意見が今非常に強くなってます。

足下のインフレ率は、一過性で高い?

既にインフレ率2%を超えている

足下のインフレ率ですが、直近では前年同期比2.6%です。だから、FRBのターゲットである2%を既に上回ってます。

その理由は2つあります。

  • 前年比較が容易である
  • 経済のあちこちでボトルネックが生じている

1つは、去年新型コロナが出た時に物価が鎮静化した訳で、低いベースから始まってる為、前年比較が容易であること。2つ目の理由は、新型コロナワクチンの接種進捗で今経済再開しています。しかし、あまりに急に起こってるので、経済のあちこちでボトルネックが生じているということです。この2つの特殊要因で物価は2%を超えて、オーバーシュートしてる。しかし、どちらも一過性の問題なので、しばらくすれば、また物価は2%よりも低い水準に自然と下がってくるだろう。だから、何もやる必要は無い。これが今のFRBの考え方です。

FRB の展望と、経済指標が出た時の市場影響は別だと考える

このように説明されれば、なるほどなと思うんですけども、実際の経済指標の数字が出てきた時のインパクトは別だと思うんですね。明日、雇用統計がありますけども、たぶん非農業部門雇用者数が予想97万、ひょっとしたら今回は100万人を超えるかも知れない。失業率も予想5.7%でいよいよ5%台に入ってくる。

市場が数字を冷静に受け止められるかがポイント

ということで、”経済は強い”というデータが出てくると思うんですよね。その時に債券市場・株式市場がジタバタせずに、ニュースを冷静に受け止められるかどうか。ひょっとした”経済が強すぎるよ”ということで嫌気して、債券が売られるリスクが出てくるかもしれません。(債券売られる≒長期金利上昇)

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以上です。