【広瀬隆雄氏】2021/7/15 米国経済、インフレ、金利政策、下半期の見通し

“じっちゃま”こと、広瀬隆雄氏によるYoutubeライブ議事メモ
2021年7月15日 米国経済、インフレ、金利政策、下半期の見通し

目次

はじめに

米国経済について

米国経済に対する結論は、非常に良好です。

今年は7%成長くらいは出るのではないかと言われています。これは僕の予想ではなく、6月のFOMCの中で、FRBメンバー18名の集計平均です。今年は+7%成長、来年22年は+3.3%成長がFRBメンバーのコンセンサスです。今年の7%成長は立派な数字です。来年+3.3%も立派です。だから、経済成長は問題ない。新型コロナに伴う経済的な混乱は、ほぼ終わったと考えて良いです。

問題は足下のインフレ

問題となるのは足下のインフレ率で、ちょっと高くなってます。先日発表されたCPIは5.3%かな。ちょっと資料を一緒に見てみましょう。

6月の数字は前年比+5.3%。すごく伸びてます。ちょうど影(シェード)がかかっている部分がリセッションです。今も景気後退今の水準、つまり5.3%くらいだったのが過去にあったのは、リーマン・ショック(2010年7月)、次が1990年10月しかない。それよりも遡ると、1980年に14.6%というのがありました。でも、最近のインフレは激しくないです。

低インフレが長期化してきたことによる、アメリカ国民の先入観

長期に渡って低インフレが続いているので、アメリカ国民のインフレに対する先入観・考え方に影響を与えています。これは、「インフレは大したこと無い」という先入観です。今はたまたま新型コロナによる外出禁止〜経済再開ということで物が足りない(例:材木が足りない、半導体が品薄になった、中古車価格が高騰する)といった、一過性のインフレが今起きているというのが大部分の投資家の見解です。

FRBはインフレ率を2%くらいに収めなさいという使命をアメリカ議会から託されてます。5%というものは大幅に上回ってます。しかし、先ほどの理由で「5.3%は一過性だ」ということをFRBは頑なに信じています。今はあたふたせず引き締めに走る必要はないというスタンスです。そして、市場関係者もFRBの考え方に賛同しています。

長期債の利回りは1.3%あたりを推移しています。物凄く乱暴に分解をすると、「長期債利回り=政策金利+期待インフレ率」です。つまり、政策金利が動かないということは、人々のインフレに対する期待だけが動いているということです。現在の長期債1.3%ということは、期待インフレ率も凄く低いということ。期待インフレ率が低いということは、人々の先入観に変化がないことを表している。結果、先入観に変化が無い以上は動く必要がないと、FRBやパウエル議長は考えています。

8月のジャクソン・ホール会議で、何も出ない可能性

ということで、なるべく引き締めを後へ後へとプッシュバックすることをFRBはやろうとしてます。

今日の話のポイントです。僕は例年8月のジャクソン・ホールの経済シンポジウムでテーパリング・債券買い入れプログラムの縮小を発表するかもしれないシナリオをここ数カ月間は持ってました。しかし、最近のパウエル議長や要人の発言を見てると、ひょっとしたらジャクソン・ホールでは何もでないかもしれない。何か発表される可能性は以前よりも低くなったと思い始めています。

投資戦略に翻訳すると、7月の相場は高いと思っています。意見変更ありません。8月末に転換期(踊り場)を迎えるのではないかと考えてましたが、ひょっとしたら何も出ないかも知れない。つまり、8月もしっかりとした相場、凪のようなイベントのない相場になるかもしれない。だから、もう1ヶ月遊べる期間が追加されたということです。

先送りが秋相場を荒くするかもしれない

9月・10月に関してはよくわからない。8月に発表しなかったものが、ひょっとしたら、9月・10月に発表されるかも知れない。先送りになっているからね。そうやって粘って粘ってやってきたものが、あとでポンとでたショックが当初よりデカイかも知れない。つまり、先送りされたことで一段と荒っぽい相場が秋にくるかもしれないと考えてます。このあたりが今回の意見変更です。

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以上です。