【広瀬隆雄氏】2020/4/6 投資戦略について 新しいテーマ、経済の見通し ディフェンシブ、バイオを重視
“じっちゃま”こと、広瀬隆雄氏によるYoutubeライブ議事メモ
2020年4月6日 投資戦略について 新しいテーマ、経済の見通し ディフェンシブ、バイオを重視
目次
- はじめに
- QAコーナー
- 工事中
はじめに
今日は、目先の投資戦略について話してみようと思います。新しい相場のテーマとか経済の見通しとかに関して、お話させていただきます。
米国経済のV字回復が難しそう
まず、アメリカの株式市場・経済は、どうやらV字回復は難しそうだというムードが広がってきています。もっと言えば、本来アメリカが持っている力の80%くらいしか出せない経済が、しばらく続くんじゃないかということです。理由は、健康への不安があるからです。経済が100%フル稼働する為には、新型肺炎の問題の解決が必要です。根本的に解決するためにはテクノロジー、もっといえばバイオテクノロジーが鍵を握っているということです。つまり良いお薬、良いワクチンが出てこないと、人々は安心感を取り戻せないということです。
安心感がないということは、映画は観に行かない、劇場にいかない、旅行にいかないということに繋がりますので、経済のディスクレッショナリー(かならずやらなくても良いレジャー)という支出が絞りこまれるリスクがあります。これは、アメリカのGDP換算の5〜10%くらい(金額で1兆〜2兆ドル)です。この部分がどれくらい戻ってきてくれるかが、GDPのパフォーマンスに大きな影響を及ぼします。
投資家というものは、その時々の経済に1番インパクトを与えている材料を投資テーマとして取り上げる傾向があります。目先は新薬が重要になるので、バイオセクターが次のテーマになる可能性が非常に高いということです。
相場の牽引役だったGAFAが苦戦する
デジタル広告が真っ先に削られる
これまでのアメリカ株の相場のリーダシップ、牽引役は、GAFAでした。でも、GAFAは相場の牽引役を降りると僕は考えてます。なぜなら、FBとGoogleは、デジタル広告の依存度が高いです。今後、デジタル広告は未来は暗いと思います。広告を出しているスモールビジネス・レストラン・旅行代理店が経営に苦しんでいるからです。そもそもお店を開けられていないのに、広告を打つ必要がない訳で、広告宣伝費は真っ先に削られると思うんですね。
GAFAは初めて景気後退を経験する
前回リーマン・ショックがあった時は、アメリカの広告予算に占めるデジタル広告は12%でした。しかし、今は56%になってます。なので、今回始めてFBやGoogleはガッツリした景気後退を経験する。まだ過去に1度も経験していないため、非常に不安が残ると思います。
Amazonは広告モデルじゃないんですけども、今のアメリカ人の暮らしが段々とうつむき加減になってきて、これから悪影響が消費にも現れてくるはずです。すると、ネット通販なんかも成長率が鈍化するリスクがあると思います。
GAFAはS&P500指数の13.7%を占めています。だから、もっとも重要なグループです。GAFAの株価が上がらないと、株価指数(たとえばS&P500)なども上がりにくくなります。つまり、インデックスだけを買ってても難しい相場が続くのではないかと思います。
ロックダウンが続くと、経済が痛む
健康の危機から、経済の危機に発展している
新型コロナの問題は、元々は健康の危機でした。しかし、現在は経済の危機に発展しています。アメリカの場合はロックダウン(日本では都市封鎖)の判断は、連邦政府ではなくて州政府が判断を下します。約30の州がロックダウンを宣言しています。全米の人口でいうと約8割がロックダウン下にあります。ロックダウンになるとお店は開けません。例外として薬局、食料品店は営業してOKです。殆どのお店が閉まるわけですから、経済に対して与える影響はかなり大きいです。そして、ロックダウンが1日、また1日と伸びるごとに、経済へのダメージはドンドン拡大します。
ニューヨーク州のロックダウン効果状況
大雑把な目安となりますが、ロックダウン宣言の14日後に新規感染者数がピークを打つと言われています。NW州は1番感染者数が多く、かなり初期の段階でロックダウンに入ったので、先行指標としてNW州が注目されています。
NWがロックダウンに入ったのが3月22日。今日(4/6)がちょうど2週間目になります。だから、今日ピークつけるかということを皆は息を詰めて見守っています。ついさっき感染者数の数字が出たんですが、前日比+7%だったんですね。その前の2日間は+11%だったので、それに比べればペースは下がった。しかし、ゼロ成長ではなかった。その意味で、半分は落胆すべき数字だったけど、2桁成長からは下がり始めたので、ほっとした面もある。明日・明後日にはゼロになるだろうと見られてます。マーケット的には今日は反発してるのかな。それは、いよいよピークをつけるぞーという期待で、株が買われているのだと思います。
もし、新規感染者数がピークを付けることができたら
スケジュールとして、新規感染者がピークを付けることが前提ですけど十分ではありません。その後に新規感染者数で段々減少していくことが必要になります。これが14日間続くことが必要です。
14日間の前日比がマイナスになったら、初めてロックダウンを解除して良いと伝染学の学者さん達は言っているのね。すると、ロックダウン宣言日から起算すると、14日間+14日間の合計28日間もロックダウンしていなくてはいけない。これが最短距離、ベストケースシナリオです。今はベストケースから1〜2日ほどズレ込んでいる状況です。
1日・1日を見る理由は、経済影響
なぜ、細かいことを詰めた議論をしているかというと、レストランとか小さな商店にとって見れば、お店を開けていない1日、1日が瀬戸際、資金のやりくりに困窮しているんですよね。だから、キチンとロックダウンする。1度ロックダウン宣言されたら市民が協力して街に出てはいけません。病気を抑えることも大事なんですけども、早くロックダウンを解除するために、みんなが動かないことが重要なんですよね。それをやらなければ、お店が潰れるという話です。
各州がロックダウンを宣言する一方で、アメリカ政府は、そういうスモールビジネスを救済するために2兆ドルの追加景気支援策を発表しています。国民1人1人に13万円を配るとか、PPPというプログラムを通じて、中小企業に今スグ融資するので、申請書を出してくださいと、銀行窓口で緊急の融資プログラムを始めています。このPPPは細部の詰めが甘くて、初日は貸付事務が混乱しました。いずれキチンと立て直しすると思うけども、初動は上手くいかなかったのね。
大恐慌リスクの重要な局面に来ている
そういう細かいことを1つ1つ間違えば、大恐慌になるリスクがあります。今後も家賃が払えなくてホームレスになるとか、車のローンが払えなくてマイカーを取り上げられるとか、クレジットカードの支払いができなくなるとか。そうやって、ドンドン焦げ付きが出てくる恐れがあるわけです。元々は健康問題から始まった問題が手をこまねいていると、金融危機に発展する可能性があるのね。
銀行株の決算発表は4月の半ば(15日?)から決算ラッシュです。今回の聞き所は、貸付の内容ですよね。それを見て判断したいと思います。もし、そうやって中小企業にお金が回らない。中小企業はやりくりに困って従業員を解雇する、大量に失業者が出てくるなど悪循環がドンドン続いていくと、大不況がやってきます。だから、瀬戸際。今、非常に重要な局面に来ていると思います。
市場はベア・マーケット、経済はリセッション入り
セクターの話に戻ると、そういう環境なので、ロックダウンが解除しても、また昔と同じには戻れないということです。株式市場も高値から20%を調整して、いわゆる「ベア・マーケット」の定義を満たしました。また、先週金曜日に非農業部門雇用者数 -70万人というひどい数字が出たんだけども、これはロックダウンが始まる前の数字です。次は、もっともっと悪い数字が出てくるはずです。間違いなくリセッションに入ってると思うんですよね。
株式市場がベア・マーケット入りした。経済がリセッション入りした。これらは新しい局面なんですよ。新しい局面が来たら、相場の物色の流れも変わります。物色の流れが変わるということは、相場のテーマ・柱が変わるということです。
新しい投資テーマ①:ディフェンシブ
では、新しい柱とは何かというと、ディフェンシブ。経済が悪いんだから、守り・防御に強いセクターを買っていく必要があります。具体的には食品株、クラフト・ハインツ(KHC)あたりが良いと思います。あるいは100均一ショップのダラー・ジェネラル(DG)という会社があります。あるいはウォルマート(WMT)。
なぜ、この辺が良いかというと、大部分のお店はロックダウンで閉まっています。しかし、例外的に営業して良いお店があります。それは「薬局を兼業していること」など。WMTは店舗内に薬局もあるんですよ。なので営業して良い。あるいは、スーパーで、ウィンディクシーズというお店があり、そこは薬局を兼業しています。お薬はみんな処方を書いて貰わないといけない。そういう所が強いという話をしています。
あと、生活必需品とかを扱ってるお店とかね。DGは食品を扱っているから、営業してOKなんです。そうすると、皆が閉まってる中でポツポツと開いてるお店があるということは、そこに売上が集中します。だから、WMTとか売上高が凄いことになってますよ。普通だったら、前年比+2〜4%がだせれば、もの凄い目の覚めるような数字です。でも今、+20、+25%とかになってるんだよ。DGもです。だから、その辺の銘柄は当然「買い」だよね。
新しい投資テーマ②:新型コロナ治療薬・ワクチン
先ほど、新型コロナの問題を根本的に解決する為には、治療薬・ワクチンが必要ですという話をしました。それをやるのが、バイオテクノロジーの株です。
具体的には、ギリアド・サイエンシズ(GILD)。リジェネロン・ファーマスーティカルズ(REGN)。モデルナ(MRNA)。そういったところが、もう効くお薬を持ってるんですよ。FDAに承認されていないだけ。でも、FDAの承認プロセスはルール・憲法みたいなもんだから、曲げることはできない。しかし、コンパッショネント・ユース。つまり、人道的な見地から、重症な患者には使っても良いではないか、未承認の薬でも例外規定があります。
GILDは年内に150万回分のレムデシベルを準備しています
これを使って、GILDは、150万回分のレムデジベルを準備すると言ってます。10月までに50万回分、年末までに150万回分を用意するためのキャパシティ確保に走ってます。これはGILDだけが作るのではなく、世界の製薬会社にお願いして、委託で作ってもらうようにも準備を進めています。レムデシベルはFDAからまだ承認されていないお薬なので、無料提供です。だから、GILDには一銭も入らない。
GILDが安かった理由は「リスペクト」の問題
GILDという会社は利益率が高い会社で、昔はむちゃくちゃ儲けてたんですよ。薬価も高く設定してました。それで、世間から非常に叩かれていました。そのような過去から、株価がめちゃくちゃ安いんです。株価が安い理由は、世間から尊敬されていないから。PERが低い理由は、会社の収益力の問題ではありません。リスペクトの問題です。今回、新型コロナ向けの薬を無料で大量に配るということは、リスペクトになるでしょう。なので、GILDの株価は上がると思います。
伝染病は毎年続く
また、伝染病の特徴として、今年で新型コロナが根絶するという類ではありません。インフルエンザは毎年手を変え、品を変えてくるわけでしょう。それと同じで、新型コロナも色々な形の変異が出てくると思うんです。それに対するお薬を課金すれば良いんです。いわば、将来に向けての新しい市場というか、成長のロードマップが開けてるわけですよ。GILDにしてみたらね。だから、今儲ける必要は全然無いわけ。
全く同じことはモデルナ(MRNA)というベンチャー企業にも言えます。だから、今年儲ける気はサラサラ無い。でも、将来に渡って毎年、毎年新しいワクチンが出せればドル箱になるわけでしょう。
新しいプラットフォームに注目する時
要するに第2次世界大戦みたいなもんだよね。新型肺炎に対する克服に向けた努力は、国民が一致団結しています。少なくともアメリカではね。国民の心は1つになってる。よく日本のマスコミで、アメリカで銃が売れてる。市民が打ち合い・殺し合いになるんじゃないかって馬鹿なこと言ってるマスコミは全然アメリカを知らないよね。団結が固まっているですよ。だから、ナインイレブンの時と一緒ですよ。みんなで頑張ろう!ってノリになっているんです。
その世界での切り込み隊長がGILDであり、REGNであり、MRNAであるワケですから、市場でどの株がちやほやされるかは分かりきってるんですよ。1番のヒーローを買うというのが王道の投資です。元々GILDは伝染病の世界では第一人者です。ノウハウがガッチリあります。REGNもプラットフォーム企業です。抗体を量産する技術は誰よりも持ってます。
だから、もう Google や、Amazon がプラットフォームとなる時代は終わったんですよ。これからはバイオのプラットフォームが重要になってきます。だから、この辺の銘柄に注目しています。
QAコーナー
工事中
以上です。