【市場理解】統計メモ – 情報通信産業-国内編
数字感を養うため、統計情報を参照していました。今回は私が働いてるセクターでもある「情報通信業」に狙いを定めた統計情報のまとめです。
目次
総務省の情報通信白書
色々な統計がありますが、今回は実質GDPを参照することにしました。私が働いてる「情報通信業界」は、総務省が管轄している「情報通信白書」があるため便利です。ポイントだけさらいたい方はこちらをご参照ください。これだけでもとても参考になります。
出典1 : 総務省 – 情報通信白書(令和2年版) – ポイント
実質GDPを見る
ここから情報通信産業の経済規模を追っていきます。まず実質GDPを見ます。物価変動の影響を除去して、規模を推し量ることを重視します。
私が属しているのは「情報サービス業」となりますが、この10年間では大きな変化は生じませんでした。しかし、情報通信産業全体としては若干成長しており、とりわけインターネット関連、移動端末関連、関連製造業の成長が著しい10年間だった模様です。
- <2018年> (1つめのかっこ:全産業中の割合) (2つめのカッコ:2008年からの成長率)
- 全産業:485兆6,470億円
- 情報通信産業:46兆9,790億円(約9.67% – 全8産業中、3位)
- 通信業:11兆円0,750億円
- 移動電気通信:7兆1,850億円 (約1.48%) (+137%)
- 情報サービス業:10兆円8,670億円(約2.24%) (-0.14%)
- インターネット付随サービス業:1兆0,880億円(約0.22%)(+133%)
- 映像・音声・文字情報製作業:2兆2,630億円(約0.47%)(-29.3%)
- 情報通信関連製造業:5兆9,830億円
- 電子計算機・同付属装置製造:6,250億円 (約0.13%) (+303%)
- 集積回路製造:1兆2,480億円 (約0.27%)(+156%)
- 液晶パネル製造:6,130億円 (約0.12%) (+922%)
- 通信業:11兆円0,750億円
- 情報通信産業:46兆9,790億円(約9.67% – 全8産業中、3位)
- 全産業:485兆6,470億円
- <2008年> (1つめのかっこ:全産業中の割合)
- 全産業:479兆7,040億円
- 情報通信産業:41兆4,710億円(約8.65% – 全8産業中、3位)
- 通信業:7兆円5,270億円
- 移動電気通信:3兆0,380億円 (約0.63%)
- 情報サービス業:11兆円0,210億円(約2.30%)
- インターネット付随サービス業:4,660億円(約0.097%)
- 映像・音声・文字情報製作業:3兆1,990億円(約0.67%)
- 情報通信関連製造業:3兆3,480億円
- 電子計算機・同付属装置製造:1,550億円
- 集積回路製造:4,870億円
- 液晶パネル製造:600億円
- 通信業:7兆円5,270億円
- 情報通信産業:41兆4,710億円(約8.65% – 全8産業中、3位)
- 全産業:479兆7,040億円
出典2:総務省 – 情報通信白書(令和2年版) – データ – 日本の産業別実質GDPの推移
出典3:総務省 – 情報通信白書(令和2年版) – データ – 日本の情報通信産業の部門別実質GDPの推移
ポイントにもあるとおり、2020年代は5Gの普及期であるため、ワイヤレス化・IoT・デジタル化といったワードはますます活況してくることでしょう。
労働者数を見る
情報通信白書では、労働者数を確認することもできます。早速見てみます。
実質GDP と同様にインターネット関連の労働者数の増加が著しいものとなっていました。一方の関連製造業は実質GDPと異なる結果です。需要に対して人材不足が顕著な状況が見えてきます。
- <2018年> (1つめのカッコ:2008年からの成長率)
- 全産業:7,099万人
- 情報通信産業:404.5万人 (-3.75% – 全8産業中、6位)
- 通信業:33.5万人 (+13.5%)
- 情報サービス業:117.9万人 (+9.98%)
- インターネット付随サービス業:10万人 (+56.25%)
- 映像・音声・文字情報製作業:24万人 (-24.6%)
- 情報通信関連製造業:66.9万人 (-22.3%)
- 電子計算機・同付属装置製造:5万人 (-34.21%)
- 集積回路製造:7.3万人 (-35.39%)
- 液晶パネル製造:2.1万人 (-40%)
- 情報通信産業:404.5万人 (-3.75% – 全8産業中、6位)
- 全産業:7,099万人
- <2008年> (1つめのカッコ:2008年からの成長率)
- 全産業:6,844万人
- 情報通信産業:420.3万人 (全8産業中、6位)
- 通信業:29.5万人
- 情報サービス業:107.2万人
- インターネット付随サービス業:6.4万人
- 映像・音声・文字情報製作業:31.9万人
- 情報通信関連製造業:86.1万人
- 電子計算機・同付属装置製造:7.6万人
- 集積回路製造:11.3万人
- 液晶パネル製造:3.5万人
- 情報通信産業:420.3万人 (全8産業中、6位)
- 全産業:6,844万人
出典4:総務省 – 情報通信白書(令和2年版) – データ – 日本の産業別雇用者数の推移
出典5:総務省 – 情報通信白書(令和2年版) – データ – 日本の情報通信産業の部門別雇用者数の推移
1人あたり実質GDPを算出してみる
では、1人あたりではどのような変化が生じていたのかを算出してみます。なお、GDPは売上高から算出されている為、多くの支出が含まれます。一概に従業員が受け取る平均年収というものにはなりません。
例としては、通信業です。通信業は設備投資性が高い事業という特徴を持っており、明らかに実数が高く出ています。5G関連の投資が相まっており、2020年代でどれだけ回収していけるかが勝負でしょう。伸びた産業・下がった産業は次のとおりです。
- 伸びた産業:インターネット関連・装置製造関連
- 下がった産業:情報サービス業、映像・音声・文字情報製作業
伸びた産業は実質GDPや肌感覚として納得はいきます。数字で見ると改めて伸び率の高さを実感します。
下がっている産業の中で、情報サービス業が下がっている点は以外でした。デジタル技術者の確保は業界全体の課題でもあるため、その効果が出ている一方、GDP成長は今後というところでしょうか。
- <2018年> (1つめのカッコ:2008年からの成長率)
- 全産業:6,841,060円 (-2.3%)
- 情報通信産業:11,614,090円 (+17.7%)
- 通信業:33,059,701円 (+29.56%)
- 情報サービス業:9,217,133円 (-10.3%)
- インターネット付随サービス業:10,880,000円 (+49.42%)
- 映像・音声・文字情報製作業:9,429,166円 (-5.97%)
- 情報通信関連製造業:8,943,198円 (+129%)
- 電子計算機・同付属装置製造:12,500,000円 (+513%)
- 集積回路製造:17,095,890円 (+296%)
- 液晶パネル製造:29,190,476円(+1602%)
- 情報通信産業:11,614,090円 (+17.7%)
- <2008年> (1つめのカッコ:2008年からの成長率)
- 全産業:7,009,110円
- 情報通信産業:9,866,999円
- 通信業:25,515,254円
- 情報サービス業:10,280,783円
- インターネット付随サービス業:7,281,250円
- 映像・音声・文字情報製作業:10,028,213円
- 情報通信関連製造業:3,888,501円
- 電子計算機・同付属装置製造:2,039,473円
- 集積回路製造:4,309,734円
- 液晶パネル製造:1,714,285円
- 情報通信産業:9,866,999円
まとめ
全産業の労働者数に対して、情報通信産業の労働者数が思った以上に少なくて驚きました。人材の確保、成長、育成という観点の課題意識が高まった統計データになりました。
3年前の統計となるため、現状はこのトレンドが維持されて、更に進行していると想像します。コロナ禍の到来によって、インターネット事業はますます伸びていることでしょう。次の統計が更新には注視しておきたい学びとなりました。
以上